ボルダリング用パネルの取り付けについて
Author 山本 忠隆
安全のため、ボルダリング用パネルは壁から浮かせて取り付けよう
このボルダリング用パネルの取り付けですが、可能な限り、奥の壁から浮かせて取り付けてください。浮かせる距離は、30mm以上取れれば理想ですが、ホールドを取り付ける時に、ボルト長の管理をしっかりできるのであればもっと狭くても構いません。
浮かせた方が良い理由
以下に理由を示します。
1.ナットとボルトのネジ山を全て噛ませられるので安全
クライミングホールドは、同じ商品でもそれぞれボルト穴の深さが違います。これは、
登っている時にボルト穴に指が入らない深さにする必要がある(安全性優先)、
製造工程の大部分がハンドメイドである、
といった理由によるものです。
それに対し、ほとんどのボルトは長さ5mm毎に販売されています。
従ってボルトをホールドに入れた時、
ホールドの底から飛び出ているボルトの長さが、板厚ぴったりになる事は、ほぼありません。
ボルダリング用パネル裏と奥の壁との間に空間がある場合、
やや長めのボルトを使用すれば、全てのネジ山を噛ませることができます。
ボルダリング用パネル裏と奥の壁との間に空間が無い場合、
・ナットのネジ山とボルトが全て噛んでない状態で使用するか
・奥の壁にボルトの頭が当たって締め込みが甘くなる
という事が起こりえます。
いずれも、ボルトの緩みが起こりやすくなったり、ホールドがガタつく原因になってしまいます。
特に壁の角度が垂直の場合、静的にボルダリングをしていても、体重の100%が乗ったホールドにかかる事になります。
ホールドはガタついただけでも、お子様はパニックになります。
大人でも恐怖を感じます。
よってGCHではこの構造はお勧めしておりません。
2.高さのあるホールドも設置できる
ホールドの固定に使用するボルトは、90mmを超えた辺りから5mmですらなく、10mm単位での流通となります。(概ね高さが80mm程度以上の大き目のホールドの固定には、それくらいの長さのボルトを使用する事が多くなります)
高さのあるホールドを壁に固定する時に、ホールド底面から飛び出るボルトの長さがパネルの厚さと全く同じであれば問題はありません。
しかし、ボルト頭が奥の壁にぶつかる場合、1段階短いボルトを使う事になりますが、それが10mm短いのです。
このボルトを使ってホールドを固定する場合、最悪の場合で、ネジ山がほとんど噛まない状態になります。
あなたはこのホールドに、安心して体重をかける事が出来るでしょうか?
隙間の無い構造のクライミングウォールには、安全上高さのあるホールドは設置できない
と考えた方が良いでしょう。
3.使用できるボルトの種類(長さ)が増える
しっかりと空間がある場合、一つのホールドに使用できる長さのボルトは、数種類あります。ボルトが多少長くても、奥の壁などに干渉しない限り使用できます。
(極端な言い方をすれば、全ネジであればどんな長さのボルトでも使えます)
一方、空間が無い場合は、使用できる長さのボルトは1つしかありません(しかもネジ山がしっかり噛まない可能性大)
設置時に、5mm単位で必要な長さのボルトを、必要な数量、用意する必要があります。
ホールドを購入しても、固定するボルトの調達に手間がかかる事が多くあります。
まとめ
ホールド設置時、クライミングウォールのナット裏側からは、ボルト頭がやや飛び出した状態が、安全であり一般的です。ボルダリング用パネルの設置には、それを可能にするための空間を取る構造にする事をお勧めいたします。
(奥の壁との間に隙間がない状態の壁を設置している営業ジムはほとんどありません)
壁からボルダリング用パネルを浮かせて設置するには、
・下地を見つけそこに対して柱(垂木など)を取り付け、
・その上にボルダリング用パネルを取り付ける
という手順になります。
下地探しは、ボルダリング用パネルを隙間無く取り付ける場合にもやることですし、それ程難しい事ではないはずです。
最近販売されている、壁にピタッと貼るボルダリング用パネル を販売している業者には、クライミングをやったことの無い方が多くなってきており、その危険性やデメリットについて知りません(業者の方とお話したことがあります)
ご注意を。
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